Recrystallized HA coating再結晶化HAコーティング
HAコーティング系インプラントには
金属成分の溶出など
様々なデメリットがあります。
それらの問題点を解消したのが
再結晶化HAコーティングです。
●骨との生着には、多くの時間が必要
●HAに比べ、骨の親和性は低い
●骨との親和性はチタンより上
●HAはコーティングする際に熱で分解を起こしてしまう
●高純度で結晶性に優れたコーティング層を作るのが困難
●生体内で溶けやすくはがれやすい
●脆弱性が難点
再結晶化HAを薄膜コーティング
コーティング層の厚さが35μmと薄く、剥がれにくい構造をしています。
ほぼHA単一層で、高温分解物がほとんどありません。
HAの結晶性が高いです。
針状、六角柱状のHAの微結晶が表面に形成されています。
コーティング層のCa/Pモル比はほぼ1.66で、純粋なHAの化学量論比に近くなっています。
生理的食塩水のpHをほとんど変化させません。
In vitro(試験管内)、in vivo(生体内)でも溶解性が低いです。
ハイドロキシアパタイト《HA:Ca10(PO4)6(OH)2》はリン酸カルシウムの一種で、骨や歯の主要成分なので生体組織と親和性が高く、時間の経過に伴い、生体骨と結合する性質をもっています。
しかし、高温・高圧でないと結晶化しにくく、HAをコーティングしたチタンやチタン合金インプラントでは体内での長期使用を考えた場合、金属成分の溶出などが考えられます。当社は十分な安全性を追求し、再結晶化HAコーティングインプラントを開発しました。
AQBインプラントは高温で比較的分解しにくく、骨伝導能を示すリン酸三カルシウム《TCP:Ca3(PO4)2 》からプラズマ溶射によって薄膜コーティングした後、水熱処理によって再結晶化HAコーティング層に変換しています(日本特許番号第5891150号)。
従来、ハイドロキシアパタイト(HA)コーティングはチタン基材の表面にHA粉末を溶射原料としてプラズマ溶射をすることにより作製されてきました。しかし、再結晶化HAコーティングは低温型リン酸三カルシウム(β-TCP)粉末を溶射原料としてプラズマ溶射することにより作製されます。
チタン基材の表面にサンドブラストを施し、アセトン洗浄をします。
再結晶化HAコーティングは低温安定型リン酸三カルシウム(β-TCP)粉末を溶射原料としてプラズマ溶射することにより作製されます。
プラズマ炎の中に溶射原料粉末を通過させ、基材である純チタンに吹き付けます。 β-TCP粉末が超高温のプラズマ炎(10,000℃内外)に触れ、溶解し、高温型α-TCPに変換し、チタンの表面にコーティングされます。
Α-TCPは加水分解により、HAに転化する性質を利用し、溶射したインプラント体を水熱雰囲気下に置き、α-TCP層をHAに転化させます(再結晶化)。
プラズマ溶射のもつ高温、急冷過程により、分解・溶融状態で基盤に到達するため、写真のような飴状にガラス化した様子が観察されます。
分解生成物として強アルカリ性を示すCaO等を含有するため、結晶性が低くなっています。
表面にHA特有の針状、六角柱状の結晶が観察され、HAの純度が高いことが観察できます。
結晶性の高いHAを作製するには、プラズマガス、溶射距離、溶射速度などの溶射条件および原料粉末の粒子径などを設定しなければならず、難しい技術とされてきました。 HA粉末を原料粉末に用いる従来の方法の場合コーティング層内にHA 以外にリン酸四カルシウム(TeCP)や酸化カルシウム(CaO)といった高いpHを示す不純物を含んでしまいます(図1参照)。TeCPやCaOは溶解性が高いのでHAコーティング層の溶解の原因のひとつと考えられています。 再結晶化HAはX線回折により、結晶化度純度が非常に高いことがわかります。